デザインの初心  「スタイル」

 デザインと言うのは「無駄をなくす」行為です。無理をしてでも無駄をなくす。(ほんとは無理しちゃいけませんが)
 無駄をはぶいて・はぶいて・はぶききって「はぶきすぎちゃって」寂しくなってしまったら、線一本・色一つ・面をひとつ加える行為がデザインです。
 小学生でも描けるような単純なかたちに落としこんでこそ、本物のデザインです。原始的に幼稚になってこそ、ほんものです。
 あっけなく見えるもの程「後世に残る」という不思議がそこにあります。

 わたしが二十七歳のとき、はじめてニューヨーク近代美術館に行きました。そこには工業製品も展示されていて、会場には、アクリル製の四角く黒いテレビや、丸くカットされたガラスときらきら輝く金属の円筒でできたアナログプレーヤー、表面がステンレスで覆われているアンプが並んでいました。
 それらは単純な「幾何形態」そのものでした。なんのてらいもなくつるんとしていて、プロダクトデザインの製品というより彫刻に近い物でした。
 『そうか。ここまで単純な物が優れたデザインなんだ。』と思いました。同時にプロダクトデザインそれは建築や美術に匹敵するだけの力があることを確信しました。

 わたしはその時に感じた「初心」を忘れてはいません。

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